今回はタイトルの通り、高知県沿岸各地で行われている「藻場の再生プロジェクト」について紹介・報告させていただきます。

いきなりですが、みなさん「藻場(もば)」って分かりますか?藻場とは沿岸域の太陽光が届く浅い海に、陸上の草原や森林のように海藻が生い茂る場所の事を言います。そして藻場は魚や貝などの多様な水棲生物の住処となり、隠れ場所や産卵場を提供すると共に水質の浄化や光合成による酸素の生成も担う、「海の森」とも言えるところです。

しかし近年、その藻場が死滅する磯焼けと言われる現象が全国各地の海岸で広がり、深刻化しています。
磯焼けの起こる理由は海水温の上昇や埋め立てなどによる水質汚染、ウニなどの食害生物の増加による生体バランスの変化など様々な要因があげられており、藻場の消失した海底からは緑が消えて白くなり、そこに集まっていたアワビやイセエビなども姿を消すなど漁業にも大きな打撃を与えています。
このことから磯焼けは、「海の砂漠化」とも言われています。

高知の海も例外ではありません。東西に長く伸びる高知の海岸線には数多くの岩礁があり、豊かな資源で満ちていましたがこの10年~20年でその水揚量は大きく落ち込んでしまいました。高知県水産試験場によると、県内の藻場が維持されている場所では海藻の伸びる量とウニなどに食べられる量との釣り合いがとれているが、磯焼けの起きている場所ではそのバランスが崩れているとのこと。

海藻と海藻を食べる生物とのバランスを本来の物とする為、平成14年から高知県はウニの除去(による藻場の再生)試験を行っています。ウニの数を減らすことは人の手でもできる事、磯焼けした海に人の手を加える事で豊かな海を取り戻すことが出来るのではないか?ということで、高知県・市町村・漁協・漁業者・地域の住民が連携してウニ除去の取り組みを続け、須崎市や黒潮町では成功事例が報告され出したそうです。


 

ではその取り組みの一例として、手結支所の事例を紹介したいと思います。

かつて香南市夜須町の手結~住吉にかけての海域においては、カジメなどの藻場が群生・繁茂し、藻場は魚介類の生育の場として重要な機能を担い生命にあふれていました。しかし、磯焼けの進んできたここ10数年で状況は大きく変わり、以前は年間2tの水揚げがあったアワビも今はその姿をまったく見ることができなくなってしまいました。
そして「自分達の手で昔の豊かな海を復活させよう!」と、2009年に「手結地区藻場保全活動組織」を結成、藻場再生の活動が始まりました。

    
磯焼けにより藻の姿はなくウニがいっぱい   モリなどを使って1つずつウニを除去します         ここもウニがびっしり

手結の海域には全国的に見てもウニの個体数が多く、藻場を再生するに当たり海藻の食害のもととなるウニの除去から始めました。ウェットスーツを着た漁師さんや地区の方、ボランティアのダイバーが素潜り・またはボンベを背負って海に潜り、1つ1つウニを駆除していきます。天候によっては視界が悪かったり、冬場の作業は海水温が低いため体力が奪われやすかったりと色々ありましたが、みなが心を1つにして取り組みました。

そしてそのあとは新しく海藻が芽生えるよう、スポアバックといわれる海藻の胞子を付けた網袋を海底に固定していきます。畑を耕して(ウニの除去)、種をまく(スポアバックの設置)と考えてもらうと分かりやすいかと思います。

-スポアバックの作成から設置-
    
 ブロックなどの重りと網袋をつなげます     あらかじめ採取していた母藻を網袋へ       海底に設置されたスポアバック


その後は海藻がうまく根を張るように祈り、3か月後、不安と期待を胸に再び海に潜りました!!
すると、そこは明らかにウニの数が減り、海藻が茂り始めていたのです。下の写真は取り組みの一部を写したものですが、ウニを除去する前と後を見比べてみると緑の範囲が広がるなど違いがでてきているのが分かると思います。

     
   平成22年6月6日 調査 (取り組み前)      平成23年3月5日 調査 (取り組み後)        新しく芽吹いた海藻
       ウニ個体数確認16個/㎡              ウニ個体数確認1個/㎡ 
       海藻類生育被度 5%                 海藻類生育被度 70%
 

 

海は広く自然が相手なだけに毎回100%の結果が保障されるわけではありませんが、こうした活動を定期的に地道に重ねてきたことで、少しずつですが藻場は再生の兆しを見せています。

昔のような豊かな海を取り戻そうとする地区のみんなの思いが実を結び、またいつか海藻の生い茂る藻場が復活してアワビなどの魚介類が獲れる日が訪れますように☆。

                     
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              藻場再生プロジェクト!!

 豊かな海を復活させよう!

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