高知県における魚類養殖は、生産量は2万トン前後、生産額は200億円前後で推移しており、県の総生産額の3分の1を占める重要な基幹漁業です。
主な養殖魚巣は、マダイ、カンパチ、ブリで、全生産量の8割を占めており、その他に、マアジ、イサキ、スズキ、クロマグロや、新しい漁種では
サバなどがあります。
【産地と魚種】
浦ノ内湾 | マダイ、ブリ |
野 見 湾 | マダイ、カンパチ |
宿 毛 湾 | マダイ、カンパチ、ブリ |
【歴史】
高知県の養殖業は、昭和30年に野見湾で当時野見漁協組合長であった、西山利春氏がハマチ2,500尾を飼育、出荷したのが最初と云われており、そ
の後浦ノ内湾、宿毛湾へ拡がりました。
最初は、ハマチ養殖が大半でしたが、昭和40年代からはカンパチが、昭和50年代からはマダイが養殖されるようになっています。
【養殖の安全性】
消費者の方々が養殖魚に対して持つ印象について聞いたアンケートの結果では、いまだに「脂っこい」、「薬漬け」など養殖魚に対してマイナスの
イメージが強いことがうかがえます。
しかし、実際の養殖現場では、魚価の下落により常に飼育コストの削減が図られていることから、高価な抗生物質(1回の投薬で数十万円かかる場合
もあります)を無駄に与えることはまずありませんし、ワクチンの普及により病気の発生自体が減少してきています。
また、パソコンの導入などによる飼育管理技術の進歩、あるいは人工飼育などにより、脂肪含量のコントロールが出来るようになっており、旬の時期
以外では天然魚よりも品質が安定しているという評価さえあります。
さらに、トレーサビリティーシステムの導入などにより飼育履歴や様々な情報を公開する生産グループなども増えてきており、消費者に受け入れられ
る安全・安心な魚づくりが進展してきています。
※用語解説
抗生物質 | 微生物が他の微生物などの発育や機能を阻害するために生産する物質。科学合成されたものは合成抗菌剤と呼ばれる |
ワクチン | 特定の病原体を不活化もしくは弱毒化して生物に取り込ませることにより、その特定の病原体に対する免疫を獲得させる生物製剤。人間でいうところの予防接種。 |
トレーサビリティー | trace(追跡)ability(能力)から作られた造語で、食品の安全を確保するため生産、加工、製造、流通などの過程を明確にすること。また、その仕組み。 |